2014年1月1日水曜日

クレヨンしんちゃん・オトナ帝国の逆襲感想


旧過ぎて「今更」という批判すら当てはまらない昔の映画ですが、
良い評判を沢山聞くのでいつか見てみたいと思っていました。


しんちゃん自体見るのが久しぶりでしたが、
中学生の頃は大好きで見てました。

映画で久々に見るしんちゃんは2001年の映画と言うこともあって、
私が好きだった「あのころのまま」のしんちゃんにまた会えたようでとても
「なつかしかった」です(*゚∀゚*)


゚・*:.:♪*・キャラクターらしさ゜゚・♯*:.。. :*・゜

物語はシンプルで、

「昔は良かった。昔が一番」と思わせる「におい」で大人の心を虜にする男が現れ、
ハーメルンの笛吹きよろしく町から大人を連れ去ってしまう。

そんな大人達に「今だっていいこともたくさんあったぞ」
「過去よりも未来へ向かって生きよう」と、「子供」であるしんちゃんが語りかけ、
「大人」の目を覚まさせる。

というもの。

90分の映画だけど、削ろうと思えば60分くらいにできただろうなと
思いました。

が、


・オトナがいなくなった後のバーで「ありがちなバーっぽいおままごと」を
みんなが本気でやるシーンや、

・デパートでかくれんぼするシーン。

・バスのカーチェイス

・東京タワーの鉄骨での攻防

などに長く尺をとった「コント」がキャラクターらしさを演出し、
子供が喜ぶであろう「いつもの面白いしんちゃん」の映画になったんだと思います。

このコントが無かったら、この映画がしんちゃんである必要が無くなってしまうと思います。


特に、バスのカーチェイスは
・意外としっかりもののボーちゃんが運転を仕切り、
・マジメな風間君はこんなときでも法定速度を遵守しようとし
・弱気なマサオ君はハンドルを握ったら人格が変わって男前になり
・乙女なネネちゃんはバスガイドになりきる
・しんちゃんは敵の愛車に放尿

5人の「らしさ」が存分に描かれていて爆笑しながら感心してました。
▲最高wwwwwww

時速40キロでカンバンに激突した園長先生は普通は死ぬと思うのですが、
面白かったですねぇ(*´ω`*)

ドリフのコントのようなベタな笑いは久しぶりに見ました。


゚・*:.:♪*・過去よりも未来を見よう゜゚・♯*:.。. :*・゜

「昔は良かった。心が豊かで人とのつながりがあって。今は忙しくて汚いばかりだ」
という言葉を昔から何度となく耳にしてきました。

(思い返すと、みのもんたがそれを一番良く語っていた気がします。)

でも、当時少年だった私にはその「良かった昔」がどんなものか分からなかったから、
ただ漠然と「今の自分はいい時代には居ないのか。憐れな世代なのか。」
見たいな事を感じていました。

思考はそこで終わり、
このことについてそれ以上のことを考えたことは無かったのですが、


この映画はそういった「オトナ」達が絶対的といわんばかりに語ってきた
懐古主義に、正面から疑問をぶつけるものだったと思います。

そして、その疑問に対する作者の答えもしっかり描かれていました。


※  ヒロシの回想シーン  ※

オトナ帝国の「匂い」にやられて少年に戻っていたヒロシを正気に戻すため、
しんちゃんはヒロシの「足のくささ」を嗅がせました。

回想シーンにも描かれていますが、ヒロシの足のくささはアニメ本編でも
たびたび話題になるネタです。

だからこそそれがヒロシにとっては「家族と過ごした何気ない、だけどとても幸せな思い出」
のワンシーンを思い出させてくれる「匂い」になるのでした。

▲蘇る「昔よりも良い」「今」の思い出

▲会社でがんばって働く姿や、ちょっと疲れた帰り道。脱いだ背広を抱えて家路に着くカットと、
その後のこの家族団らんのカット。みさえがドアを開けてくれる瞬間のカットも良かったです。

BGMベースでひろしの幸せな思い出がたっぷり描かれます。
カットの一つ一つがとても心に響きました。

 ▲懐かしい思い出。
何度も出てくる土手を自転車で走るシーン。

この後は初恋の女の子と二人で自転車に乗るシーンと、
失恋して一人で寂しく自転車に乗るシーンが入り、

そのあとに出てくる
▲このカット!

▲わかりやすい対比がなされているとおり、
この「美しい思い出」よりも、ひろしが自転車をこいでいる「今」のほうが
よほど幸せそうに見えます。

「とうちゃん、オラがわかるのか?」
「ああ・・・!」

当時子供を連れて映画館に行ったお父さんは子供の前で
涙を我慢できたんでしょうか?

独身の私でさえ涙が出たこのシーン。

「家族を持っている」人の心には相当効いたんじゃないでしょうか。

普段はなかなか気づかない「家族っていいな」という気持ちを思い出させてくれる、
とても良いシーンだと思いました。


゚・*:.:♪*・さらにもうひとつ゜゚・♯*:.。. :*・゜

エレベーターのドアを必死に止めるひろしに
オトナ帝国のボス・ケンが放った一言がとても良かった。

残念だよ、野原ひろし君・・・つまらない人生だったな」


なんて素晴らしいトス!


その言葉を受けてひろしはこう返します。

「オレの人生は詰まらなくなんかない!
家族がいる幸せを、アンタにも分けてやりたいくらいだぜ!」

上のひろしの回想を締めくくる最高の一言。

「平凡なおっさん」が最高にカッコいいヒーローになった瞬間でしたね。

▲蹴られて丸くなる。なのにどうしてかっこよく見えるのか。(`;ω;')

゚・*:.:♪*・クライマックス゜゚・♯*:.。. :*・゜


「オトナ帝国」で画像検索していて最も目立つこのカット。

この頂上にある「最後のスイッチ」を押させるのを阻止するため、
しんちゃんが東京タワーを駆け上るクライマックス。

戦ったり、敵をやっつけたりするのではなく、
「必死に走る姿を見せる」
クライマックス。

これより少し前、ケンの野望を阻止すると宣言して走り出した野原一家を見て
ケンがつぶやいた一言

「最近、走ってないな・・」

は、ケンがこの家族に心を魅かれ始めた証拠であり、
「これからひたすら走る野原一家の姿に注目してください」という
作者の誘導でもあったと思います。

▲必死に走り、身を挺して野望を阻止しようとする野原一家の姿

▲監視カメラを通してその姿を見、ひろしの言葉を聴いた人々は徐々に目を覚まします。

▲何度も転んで、それでも「未来を守るために戦った」しんちゃんの姿。
フラフラで声も出ず、ケンの足に何度もすがる姿もとても心を打ちました。

そして、ケンのカノジョのチャコに言われた
「どうして?現実の未来なんて醜いだけなのに!」
という言葉にはこう返します。

「とうちゃんとかあちゃんとひまわりとシロと一緒に居たいから」
「ケンカして頭にきても一緒がいいから」

「あと、オラ大人になりたいから!大人になっておねいさんみたいなおねいさんと
いっぱいお付き合いしたいから!」

※  ※  ※

子供には大人が懐古するような過去はなく、未来しかない。
未来しかない子供達は、それを明るいものにしていこうとする他にない。

「過去よりも今がいい。
家族と一緒に楽しい未来を生きていこう」

というこのメッセージは、幼稚園児が主人公のしんちゃんだからこそ
強い説得力を持つものだと思います。


私が昔から感じていた、大人達が発する「昔はよかった。」
という言葉に対する不快感。


それに対する問題提起と答えがわかりやすく描かれていて、
見ていてなんだかスッキリしました。

「未来は、過去や今よりきっと明るく楽しくなる」
そう思って生きていくのが一番良い人生なんだと
私も思います。


゚・*:.:♪*・ボス・ケン゜゚・♯*:.。. :*・゜

▲オトナ帝国を作ったボス。
人を洗脳する極悪人かと思ったら、どうやらそうとも言い切れない。

「現実は汚い。美しい過去に生き続けよう。それが幸せなことなんだ」
というある意味潔癖症のような男で、

町中の大人たちを洗脳して連れ去ってしまうものの、
大人たちははじめは進んで彼の差し出す「過去」を受け入れていたのであり、

歪んではいるものの人を不幸にしようというのではなく
彼なりのポリシーで「人々を幸せにしよう」としていた。というのが面白いです。
(残された子供は不幸にする気だったことを考えるとやっぱり悪人ですが。)

※  ※  ※

洗脳が解けたひろしとみさえを自宅に呼んで
身の上を話し、穏やかに説得しようとしたことや

野望を阻止しようとする野原家をその場で捕らえず
「お前達が本当に21世紀を生きたいなら行動しろ。未来を手に入れて見せろ」
と解き放ったのも面白い。

それは、
「過去よりも幸せに暮らせる未来があるなら見てみたい」
という挑戦的な気持ちや、あるいは好奇心からだったのかなと思います。

(もし野原家が諦めたり、捕まってしまうことになれば
「ほらみろ、お前達の気持ちはその程度のものだったんだろう」と
嗤ってやるつもりだったんだと思います。)

「走れメロス」の王様のようですね。


自分が「絶対だ」と信じる過去の素晴らしさを越えられるものがもしあるのなら、
そうして生きるほうがいい。

潔癖症でありながら、そんな物分りのよさもあったんだと思います。


実際、洗脳が解けた町の人々を見たケンは憤ることなく
「彼らの姿を見て、町の住人も21世紀を生きたくなったらしい」

とアッサリ野望を諦めます。

それは、彼が「人を手なづけて帝王になろう」というのではなく、
「人々に最も素晴らしい生き方を提供したい」という思いがすべての動機だった
証拠だと思います。


゚・*:.:♪*・゜゚・♯*:.。. :*・゜

細かいけどとても効いている演出を大分書き漏らしているはずです。
が、できるだけシンプルに語りたいので、私の感想はこのくらいにしておこうと思います。

今さらこの映画を見ておきながら
そこらにありがちな、誰もが思う程度の平凡な感想になってしまったと思いますが、
勘弁してください(*´ω`*)

とても良い映画でした。

これを機にほかのしんちゃんの映画もいつか見てみたいと
思うようになりました。


※  ※  ※



≪コマーシャル≫


しんちゃんといえば双葉社まんがタウン。
この感想記事を書いてから2年後。まさかそのしんちゃんと同じ雑誌で
自分が連載を持つことになるとは思っても見ませんでした。

単行本1巻が2016年6月28日に発売されております。

合縁奇縁。ご興味をお持ちいただけましたらよろしくお願いいたします。





4 件のコメント:

  1. おーこれはまた懐かしく、そしてクレしん映画の名作中の名作をご覧になったにですねw

    この映画で面白いのが、作中で大人が子供をそっちのけでオトナ帝国にいざなわれていくシーンがありますが、現実の世界でも郷愁にかられた大人が子供をダシにこの映画を繰り返し見に行く(子供はオトナ帝国の描写がよく分からないのでつまらなそうにしている)といった逸話があるぐらいです。まさにリアルオトナ帝国w

    もちろん逸話なので嘘か本当かは分かりませんが、それだけ当時は強烈だったということでしょう。

    また、この作品の翌年に公開された「クレヨンしんちゃん 嵐を呼ぶ アッパレ!戦国大合戦」もこのオトナ帝国と並んでクレしん映画の名作とされているのでこちらも視聴を強くオススメしますw

    ちなみに以前僕がオススメしたアニメ「ガールズ&パンツァー」の監督はこの映画の演出を担当している水島努さんです。(原恵一監督は水島監督の師匠格にあたる人)
    そういう意味でもガルパンは是非見ていただきたいです。(ステマ)

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  2. いーなー。
    良い映画を観て良い正月を迎えていーなー。
    オイラは『インシテミル』を観ました。
    あまりの酷さに (・-・) ←こんな顔になりました。

    返信削除
  3. これまた懐かしいものを
    クレヨンしんちゃんの映画なら嵐を呼ぶジャングルやヘンダーランドの大冒険もオススメですよ

    返信削除
  4. www.youtube.com/watch?v=lDS5f1TaBJ8←この動画は、「ひろしの回想」を見て、ふと自分の大好きな電車が脳裏に浮かび、作った動画です。
    本編を見ても涙が出ますが、この動画を作った自分自身も涙を流してしまいました。

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